北村 薫「秋の花」(創元推理文庫)

2006年3月13日月曜日

北村薫

t f B! P L

 「私」と「円紫師匠」のシリーズの「空飛ぶ馬」「夜の蝉」に続く三作目。

今回は長編である。

「空飛ぶ馬」が大学1年生、「夜の蝉」が大学2年生だから、「私」は大学3年生になっている。「正ちゃん」とはいつもながらの付き合いだが、「江美ちゃん」は学生結婚した相手のところに滞在中だ(「江美ちゃん」の旦那さんは大学の先輩で、卒業後すぐ九州に赴任になった)。


今回の事件は、私の身の回りではなく、卒業した高校でおきる、というかおきている。


「私」が幼い頃から知っている近所の女の子が、文化祭の準備をしている夜中、高校の屋上から墜落死したのだ。

そして、その女の子の親友(その娘とも「私」は幼い頃からの顔なじみという設定だ)も、その夜以来、抜け殻のようになって、学校も休みがちの状態。


その親友の女の子をそれとなくサポートしてくれるよう担任の教師に頼まれ、「私」は、その「事故」が親友の女の子の不安定な精神状態に大きな影響を及ぼしていることを感じながら、その女の子が何とか元気になったいくよう関わっていく。


しかし、その「事故」が「事故」ではなく、「事件」で、しかも、二人の女の子が非常に、ひどく仲が良くて、いつも同じ方向を見て歩いていたからこそ、起きたような「事故のような事件」であることが円紫師匠の手で明らかになるとき、二人の女の子の今までの、そして、これからの生涯が「ひどく哀しいもの」として私たちの前に現れるのである。


この話は、円紫師匠と「私」の


「あなたは、まだ人の親になったことはありません。その時に、どう思うかは分かりません。しかし、僕だったら、仕方のない事故だと分かっていても<<許す>>ことは出来そうにありません。ただ」

私は機械のように繰り返した。


「・・・ただ」


「救うことは出来る。そして救わねばならない、と思います。親だから余計、そう思います。」


といった会話でエンディングを迎える。


私も、彼女を「救いたい」と思う。


ミステリーではあるのだが、「泣いてしまう」一冊でもある。

ということで、この本のレビューは短めに終わるのである。(ネタバレになっていても、読む価値ありますよ)


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日本の人口最少県の住人。なりわいは行政書士。読書好き、ガジェット好きの昭和人です。

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