柳 広司 「百万のマルコ」(創元推理文庫)

2012年6月2日土曜日

日本ミステリー

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場所はジェノバの牢獄。戦争捕虜として捕まり、暇を持て余していた囚人たちに、「ここから連れ出してやる」となんとも不可能な約束をする、「ヴェネチアの爺さん」こと「マルコ」。牢から出るには、莫大な身代金が必要になるのだが、それをどうやって工面するのか、さて・・・と言う感じで始まる歴史ミステリーっぽいのが本書。「マルコ」とは皆さんご存知のマルコ・ポーロのことなので歴史に材をとった、といえなくもないのだが、マルコ・ポーロが「ほらふきマルコ」と言われたように、一種の歴史風、ミステリー風のの掌編として気軽に読めばいい短編集。


収録は


百万のマルコ」

「賭博に負けなし」

「色は匂えど」

「能弁な猿」

「山の老人」

「半分の半分」

「掟」

「真を告げるものは」

「輝く月の王女」

「雲の南」

「ナヤンの乱」

「一番遠くの景色」

「騙りは牢を破る」


 の13編


で、語られるのは、大ハーンの宮殿や、ハーンの使者として赴いた近隣の国々で出くわす難題の数々を如何にして解決したか、といった話なのだが、「さて、この謎が解けますか」風の大げさなものではなく、小話の連続のような風合いで、軽やかに読めるのが本書の特徴。


東方見聞録でおなじみの「ジパング」は、第1話の「百万のマルコ」で出てくるので、東方見聞録やら、中国の元やら、このあたりの歴史に縁遠い人は、このあたりから勢いをつけて、たまにウィキィペディアあたりで調べながら読むと一層楽しめるかも。


さて、マルコが最初に言う「ここ(牢)から連れ出してやる」というのは、第1話で、マルコの話で、牢にいることの退屈から忘れさせ、さらには牢にいることさせ話をきいている間は忘れただろう、ってなことで、一応の答えとなっているのだが、どうしてどうして、本当の意味は、最後の話まで読むと違った答えになる。この謎解きは本書を読んで、ご自身でどうぞ。


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日本の人口最少県の住人。なりわいは行政書士。読書好き、ガジェット好きの昭和人です。

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