「晶」に転職話が持ち上がるが、その結末は? ー 加藤実秋「ロケットスカイ インディゴの夜」(集英社文庫)

2019年4月5日金曜日

加藤実秋

t f B! P L

 渋谷のホストクラブ「club indigo」を舞台にした「インディゴの夜」シリーズの第6巻。

前巻はシリーズはじめての長編であったのだが、今巻はもとにかえって、「短編仕立て」である。

主要ホストたちの監禁騒ぎにクールな若手ホストたちが頑張ったり、馴染みの客のストーカー騒ぎや、爆弾事件の阻止に、塩谷さんが珍しく「いい働き」をしたりと、ちょっと異色のストーリーが展開される。


【収録と注目ポイント】


集録は


「スウィートトリック」

「ラシュリードライブ」

「見えない視線」

「ロケットスカイ」


の四話。


第一話の「スウィートトリック」は、「club indigo」の名パティシエ・久志の知り合いの,

洋菓子店「ラ・チュルビー」のオーナーシェフが、什器窃盗団と運悪く出くわし、殺されるという事件の解決。

この什器窃盗団は、都内の複数の洋菓子店に忍び込み、業務用の高額な機械を盗んで、中古品を扱う店で売り払っているのだが、「club indigo」のメンバーが罠を仕掛けて捕まえることに成功。しかし、この窃盗団は、殺しを否認。さらに、このオーナーを殺した凶器が、店にあった刃物ではなくて、持ち込んだドライバーが使われていることに不審を抱いたメンバーたちは・・・、といった展開。

さりげなく、第四話の事件の発端となる、大手アパレル企業スカイライトの社長・真壁が路所で倒れていた事件が仕込んでありますね。


第二話の「ラシュリードライブ」では、晶に出版社の正社員になる話が持ち上がる一方で、ジョン太、DJ本気など主要ホストが、拳銃を持った二人組に監禁される事件がおきる。

二人は、店の若手ホスト「酒井」の車に自分たちのベンツを壊され激昂している。「酒井」は、その日、店の客と「ラブホ」に泊まっていて、車は運転していない。では、誰が・・、という筋立て。

さらには、並行して、このお客が酒井と同世代の若手ホスト「手塚」の馴染客であることも判明し、事件とは別にホスト間の仲も険悪になり、といったおまけつきである。


第三話の「見えない視線」は、「club indigo」の売れっ子ホスト・ジョン太の指名客の「栞」のストーカー事件の解決。彼女に、ストーカーからのメールが届くようになるのだが、そのメールの内容には、彼女がスマホでみてた動画とか、ダウンロードしたゲームとか、すぐ近くにいないとわからないことまで含まれている。そのストーカーは、彼女のプライベートをどこで調べているのか・・・、と言った筋立て。

ネタバレ的には、スマホに仕組まれたスパイアプリなのだが、ストーカー退治は、アナログで体力勝負になるのが、「club indigo」らしい。


第四話はホストの一人・ジョン太の親友・窪寺が暴行事件にまきこまれ、その怪我がもとで手が不自由になり、経営している雑貨と古着のリメイクショップの継続がピンチに立たされている。リハビリすればよいのだが、やる気を失ってしまっている彼をなんとか元気づけようと、犯人探しに「club indigo」のメンバーを頼みにするが・・・というのが滑り出し。

ただ、出版社への正社員転職の話に迷っている晶は、どこか他人事で、ホストたちとの間に隙間風も吹き始める。

そんな中、第一話にでてきたアパレル企業社長の事件の犯人探しと「窪寺」の暴行事件がオーバーラップし、さらには、その犯人による爆破事件にも巻き込まれ・・・、という展開。


【レビュアーから一言】


今巻の最後で、ジョン太が「club indigo」を突然辞めて、友人の店を手伝うことになるのだが、それとは対照的なのが、晶の転職話の結末で、そこのところは本書で確認してほしいのだが、「club indigo」は一端入り込むとなかなか抜け出せんようですね。

巻末には、おまけのコラボマンガもあるので、デザート的に楽しんでくださいな。

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日本の人口最少県の住人。なりわいは行政書士。読書好き、ガジェット好きの昭和人です。

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