野島刑事は左遷の原因となったバンドマン連続殺人の謎を解く=青柳碧人「霊視刑事 夕雨子」2(講談社文庫)

2021年12月6日月曜日

青柳碧人

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 祖母譲りの霊能で、この世に未練のある幽霊の姿が見えて会話ができる、警視庁中野署の新米刑事・大崎夕雨子が、強引な捜査と突っ走ってしまう性格から、とある犯罪捜査で失敗し、本庁の捜査一課からトバされてきた女性刑事・野島夕梨子とともに、幽霊のアドバイスを受けながら事件を解決して、幽霊を成仏させるユーモア系サイキック・ミステリー「霊視刑事」シリーズの第二弾が本書『青柳碧人「霊視刑事 夕雨子 雨空の鎮魂歌」』です。


前巻で、熱心さゆえトラブルの多い野島刑事とのコンビが妙にマッチして、事故扱いされてしまっている事件の謎を解いていった夕雨子なのですが、今回は、野島が左遷される原因となった事件の謎に挑みます。


あらすじと注目ポイント


構成は


第一話 アリガトウという言葉

第二話 涙目さよなリーヌ

第三話 俺の名は。

第四話 ハチミツの雨は流してくれない

エピローグ


となっていて、まず第一話の「アリガトウという言葉」は、日本語学校の校長が腹部を刃物で刺された殺人事件の謎解き。容疑者として、その学校の元教員で、校長と対立して辞めさせられた女性・日野さつきが浮かぶ上がるのですが、右顔面が血まみれになっている東南アジア人のサムソークという男性の幽霊が、彼女の無実を夕雨子に訴えてきて・・という筋立てです。


サムソークが幽霊になって日野をかばっている理由がわからない上に、死んだ校長が誰かをかばっている上に日野を犯人と思い込んでいるところが霊視捜査を混乱させる原因となりますね。


第二話の「涙目さよなリーヌ」は中野区で売れない女性漫画家の変死体が墓地と住宅地に囲まれた階段のふもとで発見されるのですが、彼女の遺品整理中に、世田谷区の有名なピアニストの自宅で盗まれた時価3千万の絵画が発見されて・・という筋立てです。


幽霊となっている女性漫画家から真相を聞き出すための、彼女の遺稿となっているマンガを完成させることになるのですが・・という展開です。少しメタバレすると、親の反対を押し切って漫画家になった女性が、両親から愛されているか不安な少女を助けようとして起きた不幸な事件ですね。


第三話の「オレの名は」は銃砲火薬店にはいった爆破予告の捜査に出向いた野島と夕雨子の二人が、エレベーターの中にいた幽霊によって中に閉じ込められてしまいます。


幽霊は野島に「自分の名前を思い出さないとエレベーターを動かさない」と言うのですが、野島は自分が過去に関係した事件の関係者と思って次々名前をあげるのですがことごとくハズレ。実は幽霊の要求の「野島」に名前を思い出させるというのはフェイクで、本当の狙いはなんと夕雨子で・・という展開です。


第四話の「ハチミツの雨は流してくれない」では、野島が警視庁から左遷される原因となった「有名バンドのメンバー連続殺人事件」に関連する事件です。


当時、容疑者が訪れるというライブハウスを捜査陣が網をはっていたのですが、野島はかつて自分が逮捕し損ねた事件の犯人を見つけ、そちらに気を取られているうちに容疑者を取り逃がしてしまったのですが、今回、そのバンド・メンバーの一人・小西の恋人だった鳥山愛奈という女性が拉致されてしまいます。


そして、元バンドメンバーのところへ、彼女が拘束され頭からはちみつをかけられて助けを求める動画と、彼を呼び出すメッセージが届くのですが・・という展開です。

少しネタバレすると、被害者と思われる人物が被害者とは限らない、というところでしょうか。


レビュアーの一言


夕雨子と野島夕梨子のコンビは、ますます最強度を増していくのですが、今巻では、事件解決の余波で、野島のことをかなり嫌っていた、警視庁の上昇志向刑事・有原が殉職してしまいます。ただ、それがもとで、幽霊となった有原から彼が隠していて、野島が追い続けている事件のヒントがもたらされ、といった形で次巻以降へ続き、シリーズの続巻を期待させる展開となっています。

ただ、夕雨子の懸案である「公佳ちゃん」失踪事件のほうはまだ手がかりらしいものはないので、この解決にはまだ巻数が必要のようですね。

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日本の人口最少県の住人。なりわいは行政書士。読書好き、ガジェット好きの昭和人です。

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